伊集院猛は久しぶりに日本の土を踏んだ。だが、喜びも束の間、帰国報告に立ち寄った母の墓前で父が射殺された。伊集院を束ね、任侠一筋に生きてきた父に事あるごとに反目してきた佃興業の仕業に違いなかったが、証拠がなかった。組を継いだ兄はいきりたつ子分たちを抑えるのに必死となった。猛は兄の許婚者圭子や代貸の大崎の懇願には冷たい顔を装ったが、胸の中には怒りがたぎっていた。やがて、血気にはやる子分が佃興行に殴り込んだ。さらに、輪をかけるように猛はダイナマイト攻撃でイザコザを大きくふくらました。そして、大崎の挙動に不審を抱いた猛は、彼の女織江をしめあげ、大崎と父の兄弟分滝口が佃に寝返っていることをつきとめた。勇に危急を知らせに走ったが、すでに勇は滝口組に乗り込んでいた。サーチライト、監視用テレビ、十字砲火--滝口組の警戒体制は厳重だった。乱射される銃弾の雨をかいくぐり...
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