夜更けの或る官庁。懐中電灯片手に巡回中の守衛の眼が、半開きになっている素材課の窓をとらえた。怪訝そうにドアの鍵をあけて室内に入る守衛。その懐中電灯の光が、簡易金庫の前に散らばる書類を照らし出すと見えた一瞬、背後から人影がおどり出て、守衛の頭に凄まじい勢いで椅子がふり下ろされた。翌朝、瀕死の守衛が発見された。犯行時間は午後九時十三分、手当ての甲斐なく息をひきとった守衛の毀れた腕時計から、時間はそう推定された。荒らされた形跡が歴然たる金庫。だが、係長の岡本は紛糾したものがないという。金庫のダイヤルを知っているのは秋田、根岸という資材課員と、岡本係長だけ。然も、その三人が揃って昨夜残業したとわかると、捜査陣は三人のアリバイ追及にのりだした。三人の話を綜合すると、役所を出たのが七時半、それから三人で一杯やったが話題はもっぱら近々行われる人事異動で、課長に昇進...
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