昭和の初め。関東のある町。秋祭りの最中、大宝寺仙蔵の車が子供をはねて去った。それを聞いた千場正五郎親分はひかれた健坊の治療費を払わせようとしたが、仙蔵は、逆に子分の源太郎に命じて車の損害賠償を請求し、正五郎の賭場を荒させた。健坊の姉佳代子はそのため芸者になる決心をした。佳代子を励ましたのは刑務所帰りの御所車宗四郎だった。御所車は正五郎の子分一点喜三郎に襲われた。二人は激闘の末小川に落ち、ずぶ濡れになったが、なぜか本当の敵意が湧かなかった。その頃、仙蔵は大工場建設の仕事を得るため有力者・諏訪に佳代子を取りもつ策を巡らしていた。又賭場で喜三郎が代貸の勝三と差しの勝負になった時、壷振りの源太郎の手をとめたのは御所車だった。彼はイカサマを見破った喜三郎の背を狙う拳銃に気付いたのである。帰途、二人は源太郎、辰吉一味に襲われて、喜三郎は逆に辰吉を殺してしまった。喜三郎は自首した。佳代子への陰謀が御所車によって失敗し工事が正五郎に決まりそうになり、仙蔵は正五郎を闇討ちした。臨終の床で正五郎は、実の息子である、源太郎の事を、御所車に託して死んだ。源太郎はそれを知ると、大宝寺一家へ単身乗り込み、盃を投げ返した。そこへ御所車が助っ人に現われ、たちまち三人を斬り伏せた。仙蔵がピストルで御所車を狙っていたが、気づいた源太郎が咄嗟に御所車の仕込杖を投げ、仙蔵の胸板を深々と貫いた。二人は固く手を握り義兄弟の誓いを交わした。
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