大学の生物学助教授、広瀬武夫は、一家を背負って、三十二歳の今日まで、結婚せずにいた。だが、最近、弟の平八郎が同級生の弘子と学生結婚したのにも刺戟されて、相手を探す気になった。父の元海軍武官三吉にも、昔の部下が、やもめを見兼ねて、お嫁さんを世話するという。武夫は亡母の十三回忌までに結婚してみせると父に宣言した。武夫と復従姉のデザイナー米子は、昔、武夫と結婚するはずだったが、戦死と知らされ、船乗の伝七と結婚したのだ。今は、性格が合わず、別居しており、離婚の手続きをしていた。彼女の紹介で、武夫は花嫁学校へバイトに行き、散々な目に会う。米子の妹英子は雑誌社の女流カメラマンをしている。武夫に同情し、万年筆屋の娘や、競馬狂の娘など、次々に見合いをさせるが、全部失敗だった。九回目もだめで「試合」は延長戦に入る。武夫がこっそり男女交際機関へ入会した夜、英子はその桃色交際機関へ取材に来、ボーイに迫っかけられた。英子を助けた武夫が危くなったので英子は警察へ電話し、事件が新聞種になった。クサる武夫を慰めながら、英子は次第に彼と結婚したいと考え始めた。しかし、その話を三吉にしようと訪れた時、英子は昔の姉と武夫とのことを知らされた。米子は正式に離婚した伝七が南極へ発つのをしんみりと送った。平八郎と弘子は喧嘩をしたり、また仲良くなったりした。皆が揃ってドライブした日、英子は彼女にベタ惚れの福田清と結婚する気になった、--武夫を姉にゆずって。何故なら、昔の米子の武夫あての手紙を読み上げて、二人の気持がはっきり判ったから。--武夫の亡母の十三回忌法要と同時に、武夫と米子との結婚式がとり行われたのである。
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