農村の三男坊新庄三郎は父の急死で大学を中退、叔父野々宮信を頼って上京した。然し叔父は彼の無謀を諌め帰郷を促した。そんな三郎を同席していた助手の倉田久子が同情の瞳で見守っていた。途方に暮れた三郎が尋ねたのは幼な友達の北見里枝だった。彼女は女給をしながら美容学校へ通っていた。その後、彼は青函連絡船で知り合った自衛隊員山岸輝夫の紹介で自衛隊に入隊した。しかし平和論者の叔父に冷たく反対され、口惜しさに泥酔、無断外泊をしてしまった。泥酔の彼を助け自宅に泊めたのは久子だった。翌朝三郎の純粋さに惹かれた久子は、社会からはみだしても、自分の良心からだけははみださないでと彼を励ました。無断脱退も山岸の善処で事なくすんだ。やがて里子の計らいで闇物資の売子として街頭で働いていた三郎は、これを叔父にこっぴどく罵られた。やけになる三郎を里枝は久子への意地からケネデイの油脂会社に就職させた。今度こそはと仕事に打込む三郎であったが、折角成功した自衛隊への販路開拓も不正物資とわかり警察に拘引された。失職。世間の白眼視。大都会の濁流に三郎は己れを失い挙句の果て再びケネデイの誘いに、葉山までのドラム罐輸送を引受けた。一刻後、里枝は空港で待機しているケネデイの許に荷受証を渡しに戻った。この荷受証が香港で九千万円の金になるという彼の言葉に、罐の中味が麻薬と察した里枝は空港警察に届けた。無電によってトラックを追うパトカーに混じって、久子を乗せた山岸のジープも全速力で追った。マイクから久子に呼ばれる三郎は「自分の良心からはみ出すまい」との誓を思いだし、断崖から海へとハンドルを切った。その上空をケネディを乗せた旅客機が香港へと飛び立っていく。
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