瀬戸内海の美しい入江の町に寿屋という料理屋兼旅館がある。清作とお浜の主人夫婦は、かつてハワイに出稼したお人好しで一人息子の清一は東京の大学に行っている。年嵩の女中おけいは貧乏な漁師の娘で、小間物屋開業の金をためようと欲気で働き、お美代は二十七、八の女盛り、男好きで現在はセールスマンの小泉に現つを抜かしているが、若旦那の清一にも気がある様子。若いお春は下働きから最近お座敷に出たが、純情可憐のおぼこで、これも清一が好きらしい。そこへ尾道の料亭から流れて来た三十二、三のおしまが加った。男を信じないあばずれ女である。寿屋は山長、丸八、海野、池津など町のボス共が常連である。皆ひそかにお春を狙っているが彼女の身持は堅い。小泉と駆落したお美代は、男が妻子のある安月給取りと分って又舞戻って来た。学校の休暇で清一が帰って来たので、お春とお美代は心をこがしている。おけいは資金が出来てこの町を去った。或日派手な若い男女が来て皆の羨望の的となったが、間もなくやって来た刑事に引かれて行った。旅役者右左衛門は昔の愛人に似たおしまに好意を持つが彼女は男の愛を信じない。お春と清一の仲は急速に進み、お美代は嫉妬に燃えたが、心を取り直して二人を東京へ逃がしてやろうとする。二度目に訪れた右左衛門の愛情に、おしまは苦労も承知で彼と一緒になった。若いお春と清一にも幸せが訪れるだろうか。
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