雪路弦四郎は直参二百石の旗本で、義侠心に富んだ若者だが、放蕩無頼の徒でもあった。亡父の親友朝倉孫太夫は娘の千絵と添わせようとするが、その放蕩ぶりに愛想をつかして千絵の懇願にもかかわらず破談を申し渡した。江戸市中に、麻薬患者の殺害事件が続出した。その現場からは必ず浄海院の小さな護符が発見された。元長崎奉行松平図書頭が麻薬密輸の疑いで処罰され、その遺骨を息子の新次郎達が納骨の帰りに黒覆面に襲われるが、まだら頭巾によって救われた。弦四郎と目明しの万吉は、浄海院を洗ってみたところ、将軍家側室お咲の方の息がかかっているのを知った。麻薬のために殺された者たちは美船という船宿で極楽部屋への手引きをうけ、回船問屋の備用屋、出島屋がそれぞれに絡んでいる事も知った。弦四郎は美船で三日三晩飲みあかしながら、極楽部屋ヘの手引きを受けた。そこへ出島屋が現われ、紀州の材木問屋に...
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