昭和十六年六月、黒竜江をはさんでソ連領のセミドムカ地域と対峠している北満の監視哨に、士官学校出たての香川大尉(辰巳柳太郎)が隊長として赴任して来た。前任の岸中尉(河村憲一郎)は温厚な中年男で、軍務をゆるやかにして部下達や集落民の信頼をかちえていた。しかし新任コチコチの香川大尉は、岸中尉のやり方はだらしないものとして、兵隊達の根性を叩き直すとばかりに、猛烈な訓練を始めるのだった。ある日、司令部参謀の新田中佐(石山健二郎) の歓迎会が開かれた。酒に酔って露台に倒れていた香川大尉は、新田中佐、部隊参 謀藤倉中佐(清水彰) 、それに得体の知れぬ満洲浪人達が、ソ連との戦争を誘発しようという密議をしているのを聞いてしまった。香川は自決を強いられたが許され、その代りにソ連との戦闘開始の端緒を強引に掴めという無理な命令を下された。重く沈みがちな香川の心を慰めるのは、街の料亭で知り合った女・ハル子(島崎雪子)であった‥。
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