女房気取りの櫛巻お藤、息子気取りのチョビ安に囲まれて、鼓の与吉などと賭場通いを続ける丹下左膳は或る日、盲の娘お光をやくざの手から救った。お光は作爺と呼ばれる彫刻師作阿弥に育てられていた。お光の目が百両あれば治せるという話を聞いて左膳は百両集めにひたむきになった。その頃、日光東照宮御修築奉行が伊賀の柳生対馬守に決まった。幕府隠密総取締の愚楽老人や大岡越前守らが柳生家に名宝こけ猿の壷ありとみて善意から推薦したのだったが、実際の柳生家は裕福でなくしかも対馬守の清廉な性質のため、収賄好きの老中本多淡路守に嫌われ腹心の別所信濃守を副奉行として対馬守を苛め始めた。対馬守の弟で伊賀の暴れん坊源三郎は、司馬道場の娘萩乃と婚約していたが兄の身を心配していた。その萩乃に師範代の峰丹波が邪恋を抱いていた。淡路守と信濃守は黄金の神馬を作ると称して対馬守に金策を命じ、その実木...
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