深田は、ヤクザの弱味につけこみ、賭博をみのがすかわりに、金をまきあげ私腹をこやす悪徳刑事だ。大島組の組長竜次は、そんな深田の非道な行為に激しい義憤を感じていた。ある日竜次はそんな深田の行為をみかねて、その悪徳行為を署長に暴露した。しかし署長は警察の威厳を守るため事件をもみ消した。あやうく処分をのがれた深田は、そんな竜次に激しい憎悪を燃やした。やがて正月が近づき、大島組のナワ張り内では鳶職たちが松の内の用意にとりかかった。そんなとき深田と共謀した、大島組のライバル花岡組が暴れこんできた。さっそく竜次は花岡に会い抗議すると共に事の黒白をつけようと迫った。しかし花岡はこれを巧みにかわし、総会で事の決着をつけることを約した。しかし総会にも深田の圧力がかかり、竜次は敗れた。正月の行事を仕切る一切の権利は花岡の手に渡った。が、これに怒った大息組の乾分は竜次の手をふりきって花岡組になぐりこんだ。乾分の危機を知った竜次は単身花岡のもとに急いだ。しかしすでに二人の乾分は花岡の手に捕われ竜次も多勢にとり囲まれ窮地にたった。が、これを知った竜次の母村田きよが乾分を引連れ花岡のもとに乗りこんだ。さすがの花岡もこの決死の意気におされ、松の内の権利を大島組に返した。やがて年が明けた。だがその間深田は取調べと称して次々と乾分を拷問にかけていった。そんな拷問にかけられた紋次が、逃げだし竜次のもとにころがりこんだ。深田は、竜次を捕え、日夜責めたてた。だがこれを聞き知った。竜次の心意気を高くかう北沢男爵の計いで竜次は釈放された。事件の発展を恐れた竜次は紋次と共に他県へ脱走することに決めた。だがそんな竜次に深田一味が立ちふさがった。激怒した竜次は伝家の宝刀をうならせた。血戦の後一人残った竜次の顔は男の誇りに満ちて輝いていた。
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