敗戦直後の冬、郷里伊予一本松の疎開先から一望焼け野原の大阪に帰ってきた松坂熊吾は、自分の土地が闇商人達に占拠されていたため、闇市を取りしきる若いヤクザと際どい勝負で土地を取り戻すが、千人針の復員兵に、「あのヤクザは四人も殺した奴や」と教えられる。灘の仮住居に辿り付くと、妻・房江が一ヶ月も早い出産をしていた。後日、熊吾は元番頭の井草と共に、神戸で自動車部品のの商売を始めた海老原太一の祝いに訪れるが、かつて小僧だった海老原のなれなれしい言葉に熊吾は激怒してしまう。そんな頃、熊吾の商売も漸く始動し、機動に乗り始めるが、その裏で糸を引く海老原の策謀、そして対決と熊吾の身辺には激動が続くのだった。時を同じく、復員兵の辻堂が働きたいと訪れてきた。こうして熊吾は辻堂と、千代麿という不似合な名前を持った運送屋・丸尾を左右の腕に商売を続ける。そんな中で、熊吾に想いを寄...
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