終戦後まだ混沌としていた時代、塩屋賢一(高嶋政伸)は勤務していた会社が倒産、また自身も戦時中に患った肺結核が再発したことをキッカケに犬の訓練士になることを決意。妻の和子(桜井幸子)の心配をよそに、訓練学校を始めると、金持ちや外国人が犬を預けにやってきて、それなりに繁盛するのだった。 一方、戦時中の病気が原因で若くして失明してしまった河相洌(伊藤淳史)は室内に閉じこもり、幼なじみの玲子(本仮屋ユイカ)にも心を閉ざし気味になっていた。その様子を心配した洌の父・達夫(橋爪淳)は知り合いの外国人家族から洌の友達にと生後半年のシェパード犬をもらい受けてくる。犬の競技会でチャンピオンになって欲しいという願いからチャンピイと名づけられたその犬は、訓練に向かず落ちこぼれていたために洌のもとにやってきたという。洌がしゃがみ込み「チャンピイ」と名前を呼ぶとチャンピイは洌のもとに駆け寄りじゃれつくのだった。 ある日、チャンピイのようなシェパード犬がドイツでは盲導犬として活躍していることを知った玲子は、優秀な犬の訓練士として評判になっていた賢一の元を訪ね、チャンピイを盲導犬として育て上げてもらえないかと頼み込む。が、洌は日本に全くいない盲導犬に落ちこぼれのチャンピイがなることも、また盲導犬を自分が使いこなすことも無理に決まっているとハナからあきらめ気味。また賢一も普通の犬をしつけるだけでも大変なのに、人間の目の代わりになるような役目を学ばせるなどとても無理ではないかと感じ、やんわりと断るのだった。 賢一に断られたことで傷つき、絶望感の深まった洌は盲導犬の話を持ってきた玲子に八つ当たりしてしまう。その姿を見た父・達夫は「子供のころから何でも一番になりたがったお前が目が見えなくなっただけで、すべてが終わりなのか!?」と洌に問いかけるのだった。父・達夫の言葉が耳に残る洌。賢一も図書館に行き、盲導犬のことを調べるなどどこか気になり、普段の訓練に身が入らない。 数日後の夜、買い物帰りの賢一の目に飛び込んできたのは白つえを突き、一人商店街を歩く洌の姿だった。歩道に突きだしていた商店の看板に頭をぶつけ、のけ反るように倒れる洌。あわてて賢一が駆け寄ると洌はあちこちに生傷を作りながら、賢一に会いに来たと告げる。和子に傷の手当をしてもらいながら洌は賢一に「僕たちで一番になりませんか。塩屋さんが日本で一番最初に盲導犬を育て、僕が日本で一番最初の盲導犬の使用者に…」と言うのだった…。
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