東京都新宿区の路上で、一人の男が突然命を落とした。その男の傍らには、奈良・吉野の天河神社の五十鈴が転がり落ちていた。 ある朝、浅見家に懐かしい客が訪れる。光彦(速水もこみち)が幼い頃に可愛がってもらっていた高崎義則(篠田三郎)だ。高崎は能の流派・水上流の長老で、光彦の亡き父は生前、高崎から“お謡い”を習っていた。高崎は、光彦に見合いの話を持ってきたのだ。相手は、水上秀美(黒川智花)。能楽師として天賦の才を持つ、水上流宗家の令嬢だ。高崎から近く行われる水上家の追善能へと招待されるが、光彦は取材を理由に断るのだった。 その取材は、能の史蹟を巡るもの。奈良県の吉野を訪れた光彦は、小学校教諭の長原敏子(田中美佐子)と知り合う。 そんな中、母・雪江(佐久間良子)からの電話を受けた光彦は、京都へ向かうことに。雪江は、光彦と追善能を見るために呼び出したのだった。ところが2人が見たのは、追善能で「道成寺」を舞っていた秀美の兄・和鷹(窪塚俊介)が舞台上演中に急死する姿だった。次期宗家となるお披露目舞台での悲劇に会場は騒然となるが、光彦は「あまりに劇的すぎないか?」と疑問を持つ。 数日後、再び吉野を訪れた光彦は偶然、秀美と出会い・・・。 日本を代表する能の流派、水上流を襲った突然の悲劇。それが吉野の地で、遥か遠く、室町時代の悲劇の伝説を呼び起こすことになるとは、光彦はまだ、知る由もなかった・・・。
影视行业信息《免责声明》I 违法和不良信息举报电话:4006018900