福岡、中洲の歓楽街。 かやのは、ストリッパーである母親カトリーヌとの葛藤から家を飛び出し、街をさまよっていた。仕事も、住む家もなく、友達もいないかやのにとって、音楽を聴いているときだけが、唯一の幸せな時間だった。子どもの頃一度だけ、人前で歌ったときの心の震えを、かやのは忘れられなかった。いつかあのときのように歌うことができたら…。 かやのの密かな夢はある日、現実になる。ヴォーカリスト“ジーナ・K”として、かつて母親カトリーヌが立っていたステージで歌いはじめたかやの。 同じステージに立って初めて、自分と母親に同じ “血”が 流れていることを痛感する。 母親を越えたい。その思いがかやのを強くする。二度と這い上がれないほど深い穴の中に突き落とされても、かやのは歌うのをやめない。憎しみや悲しみが溶けてなくなるまで、かやのは歌う。すべてを受け入れ、愛するために...
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