新学期の朝。ゆう子のクラス、四年三組にも新しい担任の先生がやって来た、木村先生という若い女性の教師であった。自己紹介の時、冗談を言ったりして、すぐにクラスのみんなと仲良しになった。それから先生は、「私、十月に赤ちゃんが生まれます」とみんなに話した。みんなはビックリした。人生にとって、とても意味のある出来事に、この先生を通してみんなは出合うのである。木村先生はみんなに協力をたのみ、みんなも応援するのであった。そして、木村先生は、みんなが母さんのお腹の中にいた時の様子を聞いてみることを提案。ゆう子は悲しかった。ゆう子の母は継母であった。自分がお腹の中にいた時の様子がきけない。ゆう子が家に帰るときちんと三品料理が用意されて、看護婦の母は病院に出かけていた。ある日、四年三組の父兄が学校に来た。産休先生はこまる、勉強に支障をきたすという抗議だ。だが校長の“生きた教育"を説かれ、父兄はしぶしぶ帰った。木村先生も現実のきびしさに悩んだ。ゆう子は、クラスのきらわれ者・京子とふとした事から仲良しになり、家に遊びに行く。印刷工場の狭い家に親子八人が住んでいた。そこでゆう子は、京子から犬の折紙を見せてもらった。犬はお産が軽いため、これを千匹折って、先生にあげるというのだ。このことは、いつしかクラス全体が協力することとなった。そして、それを先生にプレゼントするのであった。先生は目をキラキラさせながら喜んだ。二学期に入った。いよいよ木村先生は産休に入った。そして、横山先生という代用教員が四年三組を担当することになった。ゆう子は、赤ちゃんを生むために休む先生とその代りに授業を担当する先生を通して、自分の母へのやさしい思いやりを芽ばえさせるのである。クラス全員が協力して一つの行動を選び、それを実行していくことの喜びを通して、未知の大人の社会へ向って飛びたつための、大切なものを学んでいくのである。
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