戦争で肉親を失った宮島志津子はトランペット吹き吉植松雄の世話で、今は浅草の踊り子として働いていた。ふとしたことから、彼女は大学の助教授波多野俊彦を知った。波多野は志津子に心をひかれ、先輩の日下重吉に彼女を会わせた。日下はその昔、踊り子だった恋人を捨てて、金持の娘と結婚し、今では女房の尻にしかれていたので、志津子に会うのは何か救われたような気持になるのだった。日下の捨てた女、優子は今では浅草で「はの字」というお好み焼き屋をやり、志津子のことも知っていて、何くれとなく彼女を励すのであった。志津子の下宿する家には町工場に働く春江がいて、貧しいなりに幸福な生活を築きあげようと努力をしていた。やがて波多野との間に破綻が起った。二人の住む社会の相違が主なる原因であった。そして彼女は吉植と結ばれ、男の為にストリッパーをするようになった。だが、志津子は吉植の冷い性格...
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