京都東山南禅寺に小料理屋「小笹」を出す佐々木せいには、二十四歳になる美しい娘千鶴がいた。せいは、日頃親しくする西陣の織元梅垣のぼんとの縁談を望んでいたが、千鶴は何かふっきれぬものを感じていた。そんな時、かつてせいが祇園の舞妓だった頃、せいのファンであった山口が小笹を訪れた。大学教授だという山口を、格好の脱出先とみた千鶴は、母親の愚知を無視して、山口に連れられ上京した。途中、千鶴を連れて箱根に立寄った山口は、千鶴の亡父らと京大三人組と呼ばれた実業家の緒方を紹介した。そこで緒方の秘書長谷川に紹介された千鶴は、洗錬された長谷川に好感をもち、京都脱出が成功であったことを確信した。その晩千鶴のお酌で、学生時代に返った二人は、せいが千鶴の父と結婚した時に、すでにせいのお腹の中には千鶴がおり、三人の内の誰の子供か判らないと冗談まじりに話した。その話は千鶴に秘かな母への不審をよんだ。上京した千鶴は、山口や緒方の家に泊り、銀座で長谷川と飲み明かし、ますます長谷川に魅かれていった。ある日、結婚して上京している親友三枝子を訪れた千鶴は、ちょうど遊びに来ていたBG生活を送る、かつての級友節子に会って懐しい一日を過した。二人が自分の生活の範囲で、楽しく暮らしているのを知った千鶴は急に長谷川に会いたくなり、電話をしたが、長谷川にはすでに同棲している恋人京子がいることを知り、千鶴はすっかり失望した。また緒方の浮気を目撃した千鶴は、東京でのめまぐるしい生活から、京都が懐しく思い出された。せいの心臓病発作で急拠京都へ帰った千鶴は、梅垣のぼんが店をきりもりする姿に、急に親しみを感じた。その夜、ぼんと結婚を決意した千鶴は、せいから出生の秘密を確かめると、初めて母娘の情愛が交流するのを感じた。大安吉日、千鶴は美しい花嫁姿でせいの前に立った。
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