ある狸の国の話。--まちの料亭「ポン」に黒太郎という美青年が現れ、「ポン」の給仕となる。黒太郎は唄も踊りも上手でたちまち人気者となる。この国の女王は美しかったが笑ったことがなく、女王に微笑させたものは望みのものをあたえるというおふれが出ていた。その女王がある日まちにおでましになって「ポン」に休憩し、黒太郎のあやまちで、女王の飲物に花びらを落としたので、黒太郎は御殿に引かれる。そのころ御殿の左大臣は森の魔女愛々と結託して御殿を乗っ取ろうとしている。実は左大臣は愛々の魔力を利用して主となり、女王をわがものにしたいと企んでいたのだ。さて黒太郎は御殿で裁かれることになったが女王は黒太郎に恋を感じ、じっと黒太郎をみつめ、微笑む。女王は微笑した。たちまち国はお祝いの騒ぎ、黒太郎は御殿の給仕掛かりとなる。ところが左大臣は面白くなく権力で黒太郎を追い出してしまう。黒...
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