二十三歳の宇田まさしは理想を追い求め、いまだに恋人もいない。会社の悪友の浩は結婚していて子供もいるし、みのるはガールフレンドにことかかないプレイボーイ。そして、鬼部長からは「君を採用したのは人事のミスだ」とまで言われている。そんなまさしにみかねたみのるは、久美という女の子を紹介する。取柄のないまさしを「仕事の腕は抜群、会社の宝」と持ち上げ、さらに「おじいさんの遺産の無人島を持っている」と言う。この島の話は本当だそうだ。そんな話に目を輝かせる久美。まさしは勿論一目惚れ、何とかデートにこぎつけたが、久美があの鬼部長の娘と分ったから大変だ。まさしは愕然とするが、一大決心をして、「お願いだから久美さんと交際させて」と言って部長をおこらせてしまう。怒り狂った部長は有能な若手小田を久美に会わす。悲しげな久美は部屋に引きこもったままで、部長が入ると、彼女の前に分厚いメロディつきの手紙がある。こんなもの返してやると言って、翌日、部長はまさしをバーに呼びつけた。ものは試しに歌ってみろと部長が言うのでまさしは歌いはじめた。心をこめて歌う関白宣言。ジッと聞き入る部長の目から思わず涙が。つられそうになったまさしに、部長はもう鬼に見えない。そして、それからことは夢のように運んで、二人は結婚、例の無人島にハネムーンに出発した。
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