下町で名代の寿司屋、江戸ぎん。銀太郎はその跡取息子だが、亡父が見込んでかれの兄貴分にした清吉がお店大事とはたらくおかげで、大学の病理学教室で医学修業尊一とのんきである。実直で男っぷりもいい清吉を女主人お澄も信じきっているが、近所の小唄師匠小ふじもここ三年ばかり通いつめての惚れこみよう。銀太郎はある日、界隈の老舗の主人ばかりで組織する“馬鹿旦那会”の寄り合いで、突然じんましんをおこしたアプレ芸者リルを介抱し、誘惑されそうになる。リルの姉芸者清香は清吉のじつの妹、若旦那に惚れたのは私がさき、と一喝してリルに手をひかせた。それからというもの、清香の攻勢ものすごく、ウブな銀太郎はすっかり逆上して帰宅の時間さだまらず、時折は朝帰りまでやらかす始末。母親お澄もだが、清吉の憤り一ぺんに爆発して清香をなじれば、無鉄砲なリルの手から若旦那をまもり、かたがた昂奮しきった...
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