一九七二年三月。小峰信彦と悦子の兄妹は、母を病気で失い、父が大阪に働きに行くことになったため、長崎の祖母に預けられることになり、五島から長崎に向う連絡船の上にいた。泣きじゃくる悦子の顔を一人の女性がハンカチでふくが、兄妹は、その人が黒の皮ジャンで暴走族のような格好なので、こわくなって逃げだしてしまう。信彦、悦子にとって、新しい土地での新学期が始まる。信彦はガキ大将の徹や子分の哲男と親しくなるが、驚いたことに、担任の先生があの暴走族みたいだった女性である。その山口竹子先生は、バイクのうしろに生徒を乗せて家庭訪問に行ったり、体育の授業ではドッジボールに夢中になったりで、すぐに子どもたちに好かれていく。そんな元気な竹子先生が倒れてしまい、精密検査を受けるために入院することになった。子供たちは竹子先生の退院を心待ちにするが、先生の体は少しずつ蝕まれていた。あ...
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