シリーズ第４弾は“味わい恋愛篇”。流れ者のトキオの、束の間の休息の巻とも言える。事件に巻き込まれたりマフィアが出てきたりといったことは一切無い。マレーシアの田舎で出会った幸薄い女性にトキオが魅かれてゆく過程が控えめに描かれている。孤独な心は孤独な心によって癒され、トキオもついに安住の地を見つけたかと思わせるが人生そう上手くはいかない。前作までと違ってトキオ役の永瀬くんのこざっぱりとした穏やかな表情が新鮮。でもやっぱり若き獣トキオには、ごみごみした都会の中を孤独に走り回っていて欲しい気がする。最後に女性がトキオに語る“あなたが私の心の扉を開いてくれた”という台詞が、この作品でのポイント。カメラワークやストーリー展開、台詞回しなど特筆すべき所は無いが、浮かれた“とりあえず恋愛”に流されている現代人には、原点に戻る意味で観て欲しい。