花村乃里子（沢口靖子）は、東京駅分駐所に所属する鉄道捜査官。刑事だった夫が殉職して以来、小料理屋『はなむら』を経営する義母の光代（大方斐紗子）と二人で暮らしている。 ある日、駅で中年男性が若い男女に階段から突き落とされるという騒ぎが発生する。現場に駆けつけた乃里子は、怪我をした男性を救急車で病院に送り届ける。 その夜、『はなむら』に乃里子の大学時代の演劇サークルの仲間３人が待ち受けていた。今では脚本家になっている中林美奈子（大寶智子）、大手広告代理店に勤める野村ひろみ（藤森夕子）、会計士の広田健児（ひかる一平）だった。久しぶりの再会に座は大いに盛り上がった。 ところが、そんなところに鉄道捜査隊の倉田課長（地井武男）から電話が入る。乃里子が病院に運んだ中年男性が急死したというのだ。殺人の疑いがあるらしい。 死んだ男は、四国の徳島市に本社のある食品会社の社長・脇田肇（辰馬伸）で、司法解剖の結果、死因は階段から落ちたことによるものではなく、遅効性の砒素化合物による中毒死と判明する。 連絡を受けた脇田の妻・洋子（石井苗子）と秘書の溝口（柴田光太郎）、さらに脇田の弟で東京支店長の脇田治郎（大高洋夫）も駆けつけてくる。３人の話によると、脇田は東京出張中に奇禍に遭ったらしい。洋子と溝口は徳島から飛んできたのだが、なぜ秘書の溝口が脇田に同行していなかったのか、乃里子は疑問を持つ。 そんな中、脇田に東京に愛人がいたらしいとわかるが、その女の手掛かりがつかめない。 その夜、乃里子が帰宅すると、気味が悪い留守番電話が入っていたと、光代が怯えていた。再生したところ、ひろみの声で「乃里子、私は鳴門の渦潮で殺される。助けて」というメッセージが吹き込まれていたのだ。乃里子がひろみのマンションに電話を入れたが留守電になっていて連絡が取れない。 翌日、今度は「私は殺された」というひろみからのメッセージが乃里子に届いて…。