沖三吉は、北海道で生れ父のひく汚ない馬車の中で育った。沖三吉の夢は、一千万円もするという毛並のよい馬をもつことだった。三吉は、人生の目的をとにかく一千万円を造ることに置いた。大滝組の幹部岩佐の誘いで、親分宗三郎の病気中、大滝組に入ったのも、あわよくば、大滝組を手中に納めることができるからだった。三吉のやり方は、やくざの仁義や斬り合いではなく、頭脳的に物事を処理してゆくことだ。三吉が最初にぶつかったのは、五味という赤紙聞の社長で、彼は、市長と組で中学校建築の汚職をやっていた。この事実を握った三吉は五味の弱味につけこんで、丁度榊組と大滝組の間で争っていた砂利採掘の権利をわがものにした。だが砂利だけでは一千万円には程遠い。こまかいかせぎもやらなければならない。インチキ賭博、予想屋など。おもしろいのは示談屋だ。高級車をみつけては、高価なものをぶつけて弁償金を...
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