昭和十八年春、日本海軍は米軍物量作戦の前に苦戦をしていた。そんな折、土浦海軍航空隊では、七つボタンに身を固めた健気な新入隊員が、厳しい日夜の規律と訓練に入っていた。和久一郎庄司、藤井、秋山、村田、並木は十一分隊一班に配属され、早速宮本上曹の精神注入捧の雨を浴び、全員ちぢみ上ってしまった。数日後、歴戦の勇士桂大尉が十一分隊に着任。体育に学業に、さらに厳しい練磨の日が続いた。そんな中で、最初の落伍者が出た。小心な並木が自らの命を絶ったのだ。折しも戦局は緊迫の度を加え、幕僚の松本少佐から訓練のすべてを短縮するとの命令が出された。隊員が指折り教える外出許可の日が来た。ところが、和久の許に届いた学友川崎素子の手紙が宮本に見つかり、総員外出禁止。和久は皆から責められたが、児玉分隊士の行なった高度な通信テストを、キャッチし再び外出許可が出た。しかし、藤井が姉の美恵...
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